シルバーアクセサリーの仕上げでの紙ヤスリの使い方

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DIYではよく出番のある紙ヤスリですが、銀を磨くと、黒い斑点や小さい穴があいてくること、ありませんか?

うっかり使い所を間違えると、それまでの仕上げ作業を台無しにしてしまう紙ヤスリ…。今回は、紙ヤスリのの使い方と使い所を紹介します。

紙ヤスリの特性

紙ヤスリは、紙に小さな粒子型研磨剤が貼り付けられています。それ自体が物を削る形になっている金属ヤスリとは異なり、使っているうちに粒子型研磨剤が紙ヤスリ本紙から外れることは多々あります。

注意

紙ヤスリには、普通に使うものと、水に濡らして使う布タイプのものがあります。ここではどちらも含めて紙ヤスリと呼んでいます。

銀と紙ヤスリの相性

銀のように柔らかい金属は、紙ヤスリで研ぐと黒っぽい点々が金属表面に浮いてきます。

銀を研いでいるうちに、本紙から剥がれた粒子型研磨剤が銀の表面に食い込むために起きる現象です。

食い込んだ粒子を落とせても、その粒子分空いた穴は埋まりません。穴の深さ分だけ周りの金属を削り落とさないといけないのですが、そのために紙ヤスリを使うと、また同じことの堂々巡りです。

まさしく賽の河原…!

そのために、紙ヤスリはすごく限定的にしか使いません

MEMO

銀だけでなく、銅などの柔らかい金属では同じことが起こります。

使い方のポイント

1. 仕上げを鏡面以外にする

粒子型研磨剤による銀表面のクレーターは、鏡面にするから目立つのです。荒らし、梨地、砂打ち…など、金属表面にテクスチャを付けてデコボコにしてやれば気になりません(粒子型研磨剤が残っていなければ)

2. 空研ぎではなく水研ぎをする

空気中で普通にヤスリをかけることを「空研ぎ」、何らかの形で水に濡らしながらヤスリをかけることを「水研ぎ」といいます。

詳しくはこちら。

水研ぎは、流水にさらしながら、又は水に濡らしながら、紙ヤスリをかけます。それにより、紙ヤスリの滑りが良くなり、粒子型研磨剤が金属に食い込む確率が気持ち減ります(体感)。

包丁を砥石で研ぐときに油をつけるのと同じ原理です、たぶん。

彫金で紙ヤスリを使うシーン

1. 金属表面や側面の面出し

使う番手

例)#80から#1500

削り始める前の金属面によります。少しのひっかき傷がある程度の銀の表面を磨くだけなら、#600ぐらいからで大丈夫です。

面出しのやり方

定磐を用意します。金属の粉、削り屑、両面テープの跡などが残っていると、そのままヤスリをかける面に影響します。定磐の表面を清潔にしましょう。

定盤

鉄製の平面が出ている板です。

素材的に固く、また平らであるため、面を出すときに重宝します。サイズはがきサイズ~A3ぐらいまでありますが、個人で使用するならはがきサイズ~大学ノートサイズくらいまでが使い勝手が良いです。それ以上のサイズになると重すぎて移動させるときに腰を痛めます(経験談)。

手順1
定磐より一回り小さく切った紙ヤスリを用意します。
ヤスリをかける金属より十分大きいほうが、作業がしやすいです。
手順2
定磐の上に紙ヤスリを置いて、利き手ではない方の手で、紙ヤスリがピン!と貼るように抑えます
手順3
利き手で麺を出したい金属片を持ち、紙ヤスリの外に出ないように気をつけながら、前後に動かします。
このとき、金属片を持つ角度に気をつけます。広い面に対して直角でまっすぐな平面を出したいなら、金属辺が常磐に対して垂直になるように持ちます。

反対に、面取りの方に、角度を出したい場合は、紙ヤスリ+常磐ではなく、棒ヤスリで削ったほうがきれいにあがります。

手順4
綺麗にしたい面全面にヤスリ目が残り、かつきれいになったら、次の番手に移ります。
金属片と両手ごとよく水で洗います。
手順5
先程より細かい(番号の大きな)番手の紙ヤスリを、同様に常磐に収まるサイズになるよう、用意します。
手順6
同じように利き手ではない方の手で紙ヤスリを常磐上に抑えます。ただし、今度は利き手で持った金属片は、左右に動かします。
手順7
番手ごとに前後、左右と削る方向を変えることで、前の番手の傷が残っていないか、削り忘れがないかどうかをチェックできます。
手順8
手を洗い、次の番手に移ります。次の番手にうつったら、また前後に動かして紙ヤスリをかけます。希望の番手で研ぎ終わるまで続けます。
MEMO

手や金属を洗うのは、

1.食い込んだ粒子型研磨剤を落とすため

2.細かい番手で研いでいるときに、前の番手の粒子などで深いキズを付けないため

です。

紙ヤスリを使っていると、どうしても削り屑と研磨剤の粒子が出てしまいます。毎回これらをきっちり落とさないと、完成間近のところで、荒い番手の紙ヤスリの粒子が金属に噛んでやり直し、なんてことにもなりかねません…!

曲線な側面の仕上げや、道具の研磨

必要な番手

銀を削るだけなら#800ぐらいからで大丈夫です。

もし銀を加工するために鉄を削るなら、#80とか、#240を用意しておいたほうが良いです。#800だと切削力が低すぎて終わりません。

紙ヤスリを棒ヤスリに巻いて使う

必要なもの

5本組ヤスリサイズの平ヤスリ(中目以下)

紙ヤスリ

スリ代セット

MEMO

インチヤスリでも出来ますが、細目でも紙ヤスリ越しにインチヤスリの目が金属に届くことが結構あります。

回避するために紙ヤスリを巻く回数を増やすと、紙ヤスリの張りがなくなり、丸くなってしまいます。削り始めると、盛り上がっている中央部分が一番よく削れることになり、結果として削りたいところが削れなくなります。そのために、影響の出にくい5本組の中目以下の平ヤスリを推奨しています。

手順1
スリ台を作業机にセットします。
手順2
組ヤスリのヤスリ部分の縦の長さを図ります。
手順3
それより5mmほど長い幅に紙ヤスリを折って、折り目をつけます。
手順4
しっかりと折り目をつけたら、端からそっと左右に開いていくと、紙ヤスリを切ることが出来ます。
棒ヤスリの縦の幅の紙ヤスリの帯が出来ました。紙ヤスリを切るのに、ハサミは使わないのほうが懸命です。ハサミが紙ヤスリに負けて痛みます。
手順5
これを、棒ヤスリの横幅に合わせております。
ヤスリがけに使う広い面、狭い面、それぞれぴったりになるように折り目をつけましょう。
手順6
2周分紙ヤスリの帯に折り目をつけたら、紙ヤスリの帯を棒ヤスリに巻き付けます。
手順7
紙ヤスリを巻いた棒ヤスリで、通常のヤスリがけと同じようにヤスリをかけます。
何もしないと巻き付けた紙ヤスリが解けてしまうので、ヤスリをかけるときは利き手の人差し指を棒ヤスリの上側に載せて、紙ヤスリを抑えます。
手順8
ヤスリの粗さを細かくするごとに、削る方向を、直進→斜め→直進と変えていきます。

 

MEMO
  • ただの棒ヤスリで削るよりも角が落ちやすいので、うっかり角を落としすぎないように注意してください。
  • 紙ヤスリの粒子型研磨剤が剥がれて、紙ヤスリがへたってきたら、紙ヤスリをまき直します。

紙ヤスリ以外のもので仕上げる方法

紙ヤスリを使ったときのデメリットや、それでも使って作業する場合の紙ヤスリの使い方を説明しました。では、紙ヤスリを使わないのなら、銀は何で仕上げられているのでしょうか?

答えは、棒ヤスリと砥石と炭です。

具体的なやり方は、それぞれこちらの記事をご覧ください。

棒ヤスリ、ヘラ、キサゲだけで仕上げる→リンク

砥石と炭で仕上げる

まとめ

銀は紙ヤスリで仕上げるのに向いていません。

紙ヤスリで銀を研ぐと、粒子型研磨剤によって黒っぽい点々ができます。そのため、銀に紙ヤスリをかけるときは、

  1. 斑点目立たなくさせるために仕上げ方法を考える
  2. できるだけ粒子が噛まないように水で濡らしながら研ぐ

という2点を意識しましょう。

具体的に紙ヤスリを使って銀を研ぐのは、

  • 大きな平面を出したいとき
  • 曲線的な側面を出したいとき

です。番手を変えるたびに、金属本体と手を洗うことを忘れないようにしましょう!

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