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ろう付けって、最初は中々うまくいかないものですよね。皆きっと通る道で、私も最初はそうでした。
ろうが流れない、玉になる、フラックスが焦げる、地金を溶かす等々。
じゃあ、何が原因なのか?どうすれば良いのか?
基本的に、ろう付がコツは「火の当て方」です。
ろう付けで地金を溶かしまくった私が見つけた、いくつかのろう付けのコツやポイントに具体例とともに紹介します。
では順番に症状から原因と対策を考えていきましょう。
また、ロウ付けの上手くいかない原因なんてどうでも良いから手っ取り早くロウ付けの成功率を上げたい!というそんなあなたはこちらの記事でロウ付け時にあると便利な道具を紹介していますので、合わせてご覧ください。
1 とにかくロウ付けできない
いわゆる、ろうが流れないという状況です。
火で熱する時間が長ければ長いほど、どんどんろうは悪くなって言ってしまいます。
火で熱する時間が長ければ長いほど、どんどんろうは悪くなって言ってしまいます。
だからこそ、ろう付けは一瞬で終わらせたい。終わらせたい…のに、終わらない(泣)
往々にして、そう言った場合の原因は、下記の2つです。
原因
- 火力が足りない
- 火のあて方が悪い
対策
ガンガンファイヤーして、色々な角度、距離から地金とろうに火をあてる
丁度良い火の大きさ、距離、角度は、加熱する素材、寸法、形状にもよるので一概にこれ、とは言えません。でも、何度もやっているうちに、感覚的にわかってきます。どの角度、距離だとそのろう付けに丁度良いのかを探してみて下さい。
また、最初の頃は適切な火の大きさもわからなくて、遠慮がちな火力で加熱してしまいがち。ですから、最初の内は、多少ガスと地金とろうを無駄にするつもりで思いっきりやってみるのが吉です。
だからといってバーナーの火口を地金に寄せ過ぎない
ろう付けに熱中してしまうと、ついついバーナーの火口が地金に近寄ってしまいます。そうすると、最も高温になる炎の部分が地金にあたっていないなんてことも。だから加熱が足りず、ろうが溶けないんです。
必要以上に火口を地金に近づけ過ぎないように意識してみてくださいね。
ロウがそのままの形で残る
ロウがほぼ切った形のままで変化がない場合、それはとにかく加熱不足です。もし今扱っている金属が分厚くて大きいなら、火力不足の場合もあります。
とりあえず火口を絞って、細く強い火を出すのが手っ取り早い解決策です。可能なら、一回り火力の強いボンベに買い換えてみてください。それだけでも変わりますよ。
ロウが丸くなったら、ろうだけ加熱されているサイン
加熱時にろうが丸くなった場合は、地金が冷えたまま、ろうだけ加熱されているというサインです。火のあて方が適切ではない場合が多いので、火のあて方を変えてみてくださいね。
また、あて方はあっているものの、火が大きすぎる場合は、本当は直火をあてたくないろうにまで火があたってしまいます。
そんな時は、火のサイズを小さくしてみてくださいね。
ガスにエアーを混ぜて放出しているタイプのバーナーを使用している場合は、ガスの量を減らしてエアーを増やしてみて下さい。細くて力強い炎になりますよ。
2 ろう付けした筈なのに外れてしまう
まるで錫付けしたときのように、捻っただけでろう付けした金属同士が外れてしまう。
ろう付けが上手くいかなかったからやり直したのに、やっぱり上手くいかない!
これで4度目なのに!キーッ!!
そこのあなた、それ、ろう付け出来ていませんよ。
原因
- ろうが流れていない
- 不純物が残っている=ろう付け面が汚れている
- ろう付け面が適切ではない
- ろうがスカスカになっている
対策
- ろう付け面を毎回きれいに作り直す
- 掃除等をサボらない
- ろうが酸化している可能性が高いので、ガンガンファイヤーして、色々な角度、距離から以下略
原因1 ろうが流れていない場合
火力が足りないままゆっくりと加熱した場合や、大火力で加熱しすぎた場合に、フラックスが蒸発しきってしまうことがあります。そうすると、ろうは流れにくくなります。
ろう付け途中でフラックスが足りなくなってきたと感じたら、竹串や金属棒でフラックスを足しましょう。
火力が足りないだけの場合は、ガンガンファイヤーして以下略。
原因2 不純物が残っている=ろう付け面が汚れている場合
ろうを流す地金の表面に酸化皮膜や、直前のろう付け時のフラックスが残っていると、ろう付けできません。一見ろう付けされたように見えても、されていません。たとえるならば、間に一枚紙を挟んだ状態で糊付けしているような状態です。
それゆえ、どれだけ上手くろう付けしたところうで、どこかの段階でろう付け部は外れてしまいます…悲しい。
そんな自体を避けるためにも、ろう付けをやり直す場合は、きちんと残っているフラックスとろうを取り除きましょう。
原因3 ろう付け面が適切ではない場合
これは、ろう付け技術云々の問題ではなく、やすり方の問題です。
そのろう付けに失敗した地金、ろう付けをするものの面同士が、ぴったりと合っていないのではないですか?
ピンセットで抑えたりしなくても自立してくっついているぐらいでないと、綺麗にろうは流れません。必要以上にろうを盛れば、無理やり流すことも出来ます。しかし、後で余分なろうを取るのに時間がかかってしまいます。後々の作業までを考えると、あらかじめ面出しの時点で楽をしないようにするのが良いのです。
3 地金の表面がメラメラになっちゃったor地金が溶けてしまった
ろう付けしようとしたら溶かしてしまいました。
銀のピアスにポストをつけようとしたら…
銀の指輪をろう付けしようとしたら…
特に銀は融点が低いですし、加熱時の色の変化も見にくいです。
そして気づいたときには…
地金が溶けてしまって時すでに遅し。よくあることです。
原因
- 加熱しすぎ=火が大きすぎる
- 火のあて方が適切でない
対策
- 火を小さくする、或いは火口を細いものに取り替える
- 地金全体の体積と形を考えて火をあてる
- 作業環境の明かりを暗くする
火をあてていた時、そのメラメラになった部分の地金、真っ赤になっていませんでした?
慣れないうちに、なまそうと思ったらうっかり地金をとかしてしまうのと同じ状態です。
単純なる加熱しすぎ。
使用している物がバーナーの場合、火口を細いものに変えて火力を弱めるだけでも効果が見込めます。
ただ、すでに細い火を使っているならば、必要な場所に火をあてていないことが原因でしょう。
均一な厚みの地金で、右は幅広、左側は右側の半分の幅の地金の場合(下記画像参照)、同じ様に火を当てたら、体積の違いから、体積の小さい左側の地金の温度が先に上がり、赤くなります。
例えばピアスのポストをろう付けで地金につけるときも、ポストに火を当てるタイミングを考えないと、ピアスのポストが溶けます。
(あとポストを持っているピンセットの先端も)
それでも無理なら、作業環境を暗くするのもありです。
- 窯を作る
- 電気スタンドなどを消す又は暗くする
- 光源と手元の間に自分で影を作る
60wくらいに手元が暗くなれば、銀が発光する様子がよくわかりますからね。
あ、ちなみに地金は勝手に溶けませんからね。あなたが溶かしてしまったのです…。
失敗したろう付けをやり直す方法
フラックスの取り除き方
種類にもよりますが、多くのフラックスは水溶性ですから、ぬるま湯等で取り除くことが出来ます。
(当ブログで紹介しているフラックスは全て水溶性です)
ろう付け部を熱湯に付けておき、お湯が人肌程度になったら柔らかい綺麗なスポンジ等でフラックスのついた面をこすりましょう。
時間に余裕のある人はぬるま湯に付けておいても大丈夫です。
ろう付け部によっては、キサゲ等鋭利なもので硬化したフラックスを削り取ることもできます。
しかし、ろう付け部周囲に余分な傷をつける可能性が高いので、推奨していません。
ここで大事なのは、絶対にフラックスを削り取るためにヤスリを使わないようにする、ということです。
ヤスリの目が詰まってしまいます。
もちろうん、後でお湯で洗って…とヤスリを洗浄することも不可能ではないです。
しかし、ヤスリ洗浄時に錆が発生しないようにかける手間を考えると、お湯でフラックスを洗い流すほうが結果的に時短&楽です。
銀ろうを落とす
銀ろうは加熱すればするほど劣化していきます。
丁寧に(=時間をかけて)、優しくチョろう火(=小さい火)でろう付けするほど、銀ろうはもろうくなってしまうのです(泣)
そのため、失敗した分の銀ろうは精密ヤスリ等で丁寧に(そう、こういう時にこそ丁寧に!!)やすり落としましょう。
例えば平面部分にろうが不本意に流れてしまった時や、ろう付けしたい部分をこえてろうが余分に流れてしまった時は精密スリの甲丸(半円状のヤスリ)のアールのついた部分でやすり落としましょう。
別に甲丸でなくとも良いのですが、ピンポイントに削れて、かつ、余分な角が入りにくいのは、甲丸です。
もう一度、ろう付けにチャレンジ!
さあ、フラックスと銀ろうが落とせたら、もう一度ろう付け面を整えましょう。
- 合わせ目はピッタリと合っていますか?
- ガタつきませんか?
- バリは取りましたか?
- 面同士の幅、空きすぎていませんか?
- 酸化皮膜、取りましたか?
- おっと、ろう付け面が適切ではなかったですか?
ろう付けしたいもの同士の形が合っていないと、その分を埋めるようにろうを流さないといけません。
余分にろうが必要になります。
また、加熱した時に沸騰したフラックスによって、せっかく合わせたろう付け部の位置がズレてしまう可能性 大!! です。
いくつかのろう付けパターンがありますが、いづれも形が合っていないと難しいですよ!
最初の頃は、平面を出したり、アールをつけたりといった、望む形に成形するのも一苦労だと思います。
非常に面倒くさゴホンッ大変に感じて、手を抜きたくなってしまうかと思います。
しかし、しかしですよ。
それではいつまでたってもやすりの技術も上達しませんからね?
ただし、それなりにメリットもあります。
もちろうん、自分はろう付け技術を向上させるためにあえて不揃いな面をろう付けしたいんだ!という人生ハードモードな感じの話ではなく。
例えば真鍮にろうを流した時、どれだけの隙間があると、銀ろうはどれくらい目立つのか。
隙間と目立ち具合の関係を見て、適度に要所要所で手を抜けるようになると、ちょっと作業が楽になり、全体的にスピードアップできます。
もちろうん、細部まで手を抜かない!!というものづくりの取り組み方はとても大事です。
しかし、最初のうちは、ある程度のところうで見切りをつけ、次に進むほうが結果的に数をこなすことが出来るので、上達するスピードが早いです。
完璧主義な人ほど、成長スピードはゆっくり、ということですね…
そのため、手を抜いて良いところうを知って、適当(=適切に)に手を抜いていったほうが、案外早く上達するものです。
銀ろうの加熱し過ぎによる健康被害
銀ろうだけの過熱による危険性
ガンガンファイヤーするときでも、火は銀ろうにあてず、地金にあてるようにしましょう。直接銀ろうに火をあてると、地金が温まるより先に銀ろうの温度が上昇して、銀ろうが丸く固まります。
銀ろうが適温以上に加熱されると、蒸発する金属(ヒューム)の量が飛躍的に増えます。安い銀ろうには、流動性を良くするため・コスト低下・融解温度低下のためにカドミウムが含まれています。当然、カドミウムの粒子も蒸発して噴霧します。過去には健康被害に繋がった事例もありますから、あくまで温めるのは地金をメインにしましょう。
カドミウムが気になる場合はカドミウムフリーの銀ろうを
重金属が気になる場合は、カドミウムフリーの銀ろうもあります。
カドミウムを使用していない分、お値段ははります。しかし、安全には変えられませんよね。特に作品としてお客様に渡すものは、カドミウムフリーのタイプを使用しています。
ろう付けのポイントまとめ
本日はろう付け初心者あるあるを掘り下げてみました。
火の扱い方に重点を置いたろう付けポイントとしては、この2つ。
- 思い切ってさっとろう付けする
- 火力、あて方を調整する
他にも、銀ろうの切り方だとか、種類だとか、道具の手入れだとか、ろう付けが上手くいかない場合の要因として挙げられるものは他にも沢山あります。
今回の火のあて方でろう付けあるあるが解決できなかった場合は、ロウ付け時にあると便利な道具を紹介する記事なども、見てみて下さいね。