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ハンドメイド作家を続けていると、ありがたいことにオーダーメイドのご相談が寄せられるようになります。
貴方が販売している作品を見て、良いと思ってくださったお客様には持てる力の全てをもってお答えしたい。と、意気揚々とオーダーメイドを受けたはいいけれど、
- 最初にお客様に伝えた価格よりも高くなってしまった…
- そもそもどうやってオーダーメイド品の値段を決めればいいの?
- せっかくアクセサリーが完成したのに、価格を伝えたらお客さまから予算オーバーだと断られた…
…と、ならないように、予めお見積りを出すことが大事です。また、定期的にオーダーメイド品を受ける場合は、ある程度オーダーメイド品の価格設定方法を決めておくと良いでしょう。
では何を見積もりにいれて、どうチェックすれば良いのでしょう?シルバーブローチを例に見ていきましょう。
オーダーメイドの見積もりに入れるもの
材料費
地金代
お客さまからオーダーメイドの依頼があったら、必要な地金の量を計算しましょう。銀は日によって値段が変わります。多少の変動には影響されないように、予め少し高めなグラム単価を決めておくと良いでしょう。
いつも仕入れている地金屋さんがあるのなら、そちらに地金を注文し、請求された額を参考にしてもいいですね。
パーツ代
ブローチならピンパーツや、ワンポイントの貴石やチェーンなどがパーツ代です。ちなみに、そのパーツを仕入れるのにかかった送料や、買い付けたのなら交通費などについても、パーツ代に含めて考えないと気付くと赤字になっています。
その他雑費
たとえば銀ろうやフラックスなど、作るうえで必要な消耗品です。一度に使う量が少ないものは、どうやって価格に反映させればよいか困る項目の一つ。このタイプの作品の消耗品費は○○円、と決めておくのもありですね。
デザイン料
デザインにかける時間×制作物の寸法×デザインの細かさ×デザインの変更回数で考えましょう。
見積もり自体は無料としているお店が殆どです。そして、見積もりと共に、デザイン画を見せる場合が多いのではないでしょうか?
その見積もりの中に、デザイン料も組み込みましょう。フルオーダーであれ、セミオーダーであれ、それぞれにオーダーデザイン料を設定しておくと良いでしょう。
フルオーダーの場合
一度でデザインが決まる場合は少なく、その後幾度かデザイン画に修正を加えることになると思います。デザインを考えるのにかける作業時間と、デザインに変更を加える回数に、制限をつけておきましょう。
最初の見積もりを出した時点で、その制限時間や回数を超える場合は、その分だけ○○円お高くなります、と伝えましょう。そうしないと、その後よりお客さまの要望に答えたいと思い作業時間を長くすればするほど、あなたのデザイン考案にかかった時間給は一直線に右肩下がりです。
もしそこで追加作業時間分の人件費を当初の見積もり料金に上乗せすると、最初に説明がなかった分お客さまは急に価格が上がってびっくり、最悪の場合オーダー取り消しになってしまいます。
セミオーダーの場合
たとえば、あなたが扱っている既存の商品の一部のデザインのみを変更するときのことです。
ここでは大まかなデザインはできているわけですから、フルオーダーよりはあなたの作業量は減ります。したがって、フルオーダーよりもデザイン料を少し抑えることができます。もちろん、安くしなければいけないわけではありません。フルオーダー、セミオーダー関係なく一律料金体制を導入されているお店もあります。
ただ、フルオーダーとセミオーダーの間に価格の幅を持たせることで、フルオーダーの特別感を演出することが出来ます。
見積もり料
見積もりを出すにあたり、この欄にある全てのことについて調べて、値段を計算しなければなりません。一定時間、必要です。その作業にかかった時間分の人件費も計上しましょう。慣れないうちは一つ一つの作業に時間がかかるでしょうが、慣れてくるころには、概算である程度は出せるようになりますよ。
人によっては、この中にデザイン料を定額制で入れている人もいますね。
作業費
製作にかかる人件費
実際にそのものを作るのにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか?今までの経験から、おおざっぱに計算してみましょう。受注後の本番で失敗しても、追加の料金はいただけません。成功率が五分五分の注文を受ける場合は、製作が非常に困難なものであることを伝えたうえで、予め1回の失敗分の材料費や作業費を上乗せした見積もりを出すようにしましょう。
一般的に制作費は、後述の事務仕事関係の人件費よりも高く設定されている場合が多いです。習得に長い年月を要する高度な技術ほど希少性が増します。
また、特定の技術の長期間に渡る反復により、初心者のころよりも同じ作業にかかる時間が格段に減ります。過去の作業によって時間短縮ができたわけですから、それも時給に反映させます。単純に最低賃金のみで計算すると、技術が上がり、制作時間が短くなればなるほど、ジリ貧になってしまうからです。
もちろん、昔1時間1個しか作れなかった商品を、1時間に4個作れるようになれば、その分売上はあがります。しかし、手作りというのは、大量生産で薄利多売を狙うビジネススタイルとは相性が悪いです。大量生産、薄利多売は機械の専売特許であって、人力で対抗しようとすると、体力と集中力の限界を超えられないためです。
仕入れ、梱包、発送等の事務仕事にかかる人件費
一つ一つの作業時間は少ないですが、塵も積もれば山となります。いちいちかかった時間を測る必要は無いですが、梱包作業は300円/10分で行うなどの基準を設けておくと良いでしょう。
外注費
業者などに一部の作業を委託したときに発生する価格です。
たとえばシルバーブローチの仕上げに金メッキを希望されるお客さまがいらっしゃるとします。自宅には金メッキのできる装置が無いので、外注するとします。そうしたら、外注にあたりかかった送料と工賃を販売価格に上乗せしなければいけません。
他にも、ロストワックスなどを用いてキャスト品を外注している場合。そういった場合はキャスト代や送料を外注費に入れましょう。
適正価格かどうかわからないときは別の角度から検証してみる
オーダー品を作るにあたり、かかる費用を洗い出しました。そうすると、なかなかの金額になっていて、これでいいの?と思うこともあるやも知れません。そんなときに、その価格が適正であるかどうかを確認する方法をご紹介します。
全作業時間を洗い出して時給換算する
打ち合わせ、見積もり、制作、デザイン考案、梱包、発送といった作業にかかる時間。他にも入金の案内メールや発送案内メールなどの雑務にかかる時間。そういったもの全てを合計してみましょう。
何時間になりましたか?
その時間数に、あなたが適切と思う時給をかけてみましょう。お住いの地域の最低賃金をかけた金額、あなたが欲しいと思う時給をかけた金額、その両方を出しても良いですね。
市場価格を調べる
同じような作品を作っている他の作家さんは、どのようなものを、いくらぐらいで売っていますか?
下記のECストアや、ハンドクラフトサイトで相場を検索してみましょう。
- minneで調べてみる
- 【ココナラハンドメイド】で調べてみる
- BASEで調べてみる
結局は自分が納得できる値段が最適
オーダーメイドというのは、基本的に手間も時間もかかるものです。自分がその手間暇をかけた分として受け取って恥ずかしくなく、また、不満も感じない額が適正といえるでしょう。
その基準として、できた作品のクオリティが、合計作業時間からみたコンビニのアルバイトより上か下かとか、やりがいがあったかとか、勉強になったとか、すごく難しかったとか、そういったフィーリングで決めてしまうのも、別に問題はないのです。それはあなたの自由ですから。
ただし、お客さまに価格の理由を聞かれたときに、きちんと答えられるようにはしておきましょうね。ぼったくっている価格設定は、案外わかってしまうものですよ。
オーダーメイド品の価格設定まとめ
せっかくオーダーメイドのご相談をいただいたのなら、できるだけお客様の気持ちに答えたいですよね。気持ちよく取引ができるように、今回紹介したような項目についての価格を、ゆるく考えておきましょう。
ただしオーダーメイドの価格設定に、がちがちのルールを決めてしまうと異様に高いお値段になってしまうので注意が必要です。しかし、安すぎてもよくありません。趣味で売っているのなら良いですが、ハンドメイドで生きていくには、収入も必要だからです。
かといって、高ければ良いというものでもありません。特別感は出るかもしれませんが…必要以上に高く設定しては、お客様も気づくものです。作品とのバランスを見ながら、適切な価格の落としどころを探していきましょう。
かかる費用として考えるべき項目をもう一度まとめます。
- 材料費
- デザイン料
- 見積もり料
- 作業費
- 外注費
もし価格設定に不安が残るのなら、市場調査をしてみたり、自分で納得がいく金額かどうかを考えてみてください。